Meaningful Use とは???
Meaningful Use (意味のある使用)、ということを何度かお話ししました。
Experience(体験)とも言えますが、「勉強する」のではなく「言葉として使う」ということです。要するに、母語のように「使う」ということですね。「母語のように」というのは誤解を生じやすいので注意しなきゃいけないんですけど、「母語と同じくらいのレベルで」ということではなく「母語と同じくらい気楽に、無意識に」ってことなんです。
ある生徒が多読をしながら小さいノートに何やら書き込んでいたので声をかけてみました。
「何を書いているの?」
「本を読んでて、会話で使えそうなフレーズがあったらこのノートに書いて、寝る前に覚えているんです。」
「楽しいの?」
「はい!楽しいですよ!好きな本からいろんな表現を覚えられるから!文法の本だと覚える気にもならないけど、こうやればどんどん構文も熟語も覚えられます!」
5年前であれば「おぉ!それは素晴らしいね!」と言っていたところですが、多読をかじりはじめ、多くの「ノン・ティーチャー・英語ユーザー」に出会い、様々なカルチャー・ショックを体験した今となっては、こういうのを見ると「うーむ」と唸ってしまうのです。もちろん生徒に「それはやめなさい」とは言いませんけど、本音としてはやめた方がいいと思っています。
メモをとるとどうしても「勉強」になっていまいます。そして「勉強マインドセット」になった瞬間に、自然な吸収はできなくなるんではないかな、と感じているんですよね。教育関係の論文なんかを読んでいるとincidental learning(偶発的学習)という言葉を見かけるんですけど、言葉ってまさにこれなんじゃないかな、という気がしています(自分の体験から)。
せっかくの「ゆるなが」も、「気に入った表現を書いておこう」という時点で「お勉強」になってしまうのではないでしょうか。
そもそも言葉を話したり書いたりって、99%以上の場合は、「こういう表現を使おう」なんて考えずに、ドバーっと言葉を垂れ流しているだけですよね(「ドバーっと」を専門用語ではfluent / fluencyといいますが)。だから、読んだり見たり聞いたりするときも、「気に入った表現」とか考えずに「ドバーっと」浴びるのが本来の姿、つまり、Meaningful Useだと思うんですよ。
上の生徒も「楽しい」と言っているので、「やめなさい」とは言えなかったのですが、結局目的が「構文や文法を覚える」と勉強になってしまっています(母語で本を読んだり映画を見ているときに、メモなんて取りませんよね)。メモをとって覚えている時間を、もっともっと「浴びる」時間にまわした方がいいでのでは。
母語と同じ「気楽さ」で楽しく使っちゃう。
これが「ゆるなが」マインドセットです。
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