単語の都市伝説...
またまた単語の話。
本屋で「こんな私がなんで東大に入れたのか」的な本を立ち読みしたのですが、英語のところはやはり「単語はこうやって覚えた」とかいうことが書いてありました。まぁそれで東大入ったのは確かでしょうが、単語暗記「だけ」で受験突破したはずはありません。ですが、「英語の受験勉強=単語暗記」とみんな刷り込まれていますから、単語暗記の話をするのが一番説得力があると考えて書いたんでしょうね。
高3の生徒が勉強の相談に来てこんなこと言っていました。
「高2のときのセンター同日模試で英語は200点満点で70点しかとれなかった。数ヶ月『英単語ターゲット』を必死でやったらこないだの模試は140点取れた。でも、そこからぜんぜん伸びない。とにかく読むのが遅くて時間内に終わらない。」
よくぞ数ヶ月も英単語暗記だけをしたものだと感心したら「いや、出てくる単語を辞書で引いて、接頭辞とかの情報を読んで覚えるとすごく楽しいんですよ!」と。まぁこういう珍しい人もいるんですね。でも、ごく普通の方はこういう趣味はもちあわせていないでしょうから、数ヶ月単語暗記だけするというのは耐えられないでしょう。
何百万回でも言いますが、単語暗記は単なる暗記作業で、それ以外の勉強にはなりません。
じゃあどうすればよいか。
大学入試で一番大事なのは長文読解です。だから、英語の文章を読むんですよ。長文問題集でもいいし、教科書でもいいし、ネットの英語記事でもいい。
文章を読んでいればあたりまえだけど知らない単語が出てきます。そういうときに電子辞書、iPhone内蔵辞書、Weblioポップアップ英和等、できるだけ面倒でない辞書でさっと意味を確認しながら読み進めれば、単語も徐々に覚えていきますし(それも「出る順」に)、読解力、文法力、一般教養、全部身についていきます。
という話をその生徒にしたら、「確かに。。。僕は単語と文法を覚えないと長文が読めないと思っていました」と言っていました。先生を含めて、そう思ってる人がほとんどなんでしょうけど。
ちなみに、高1で毎週やっている「単語テスト」の成績と、記述模試の成績の相関係数を出してみたら、0.39でした。これは「ある程度の相関がある」ということらしいです。知り合いの先生が多読で読んでいる本の1冊の語数の平均 (Word per book)(※1)と模試の成績の相関を出してみたら、0.67、つまり「かなり高い相関がある」ということです。1冊が1000語程度の本(一般的に考えたらかなり「やさしめ」ですが)をたくさん読んでいる人が成績が高いということ。
1.0≧|R|≧0.7 | :高い相関がある |
0.7≧|R|≧0.5 | :かなり高い相関がある |
0.5≧|R|≧0.4 | :中程度の相関がある |
0.4≧|R|≧0.3 | :ある程度の相関がある |
0.3≧|R|≧0.2 | :弱い相関がある |
0.2≧|R|≧0.0 | :ほとんど相関がない |
出典:「社会調査の基礎」放送大学テキスト |
http://www1.tcue.ac.jp/home1/abek/htdocs/stat/corre.htmlより
大学入試では、そのレベルの文章に出てくる単語の「意味」を覚えていることは当然必要です。問題は「覚え方」なんです。受験は時間との勝負。できるだけ効率的な勉強法でやっていきましょう。
インターネット上で読める、大学入試対策としても使えるサイトをいくつか紹介しておきます。
まずはレベル別に読めるニュースやストーリー。
今度は、日本語もついている英語記事。先に日本語でざっと読んでおいてから英語を読むのといい(もちろん慣れてきたら日本語読まなくていい)。
↑日本語記事の最後に英語記事へのリンクがあります。
http://jp.wsj.com/public/page/japan-life.html
Wall Street Journalの日本語版。「原文(英語)」のリンクは「有料」となっていますが、タイトルをコピペしてググれば、無料で読める英語記事にいけます。
英語のエッセー | The Japan Times ST オンライン
音声も全訳もついている、親切な週間ST。このサイトがなくなったらもったいないので、時々紙の新聞も買いましょう(笑)。
慣れてきたらもう手当たり次第、いろいろ英語で読めばいいんです。Twitterでフォローしておくと、見出しだけ流れてくるので興味があるのを読めばいい。
こんな時代に単語暗記だけをやっているのがいかにバカらしいかおわかりいただけましたか?